鼻血
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症状

鼻血は、誰でも一度は経験したことがあるくらい、ごく一般的な症状で、通常は10分以内に止まり、特に問題にはなりません。 しかし中には、何回も繰り返す、出血がすぐに止まらないなど、やっかいな鼻血もあります。その場合は、まず、正しい方法で止血してできているかをチェックしましょう。

鼻血の止め方

鼻血は、正しい方法で止血すれば、通常5~10分で止まります。
鼻の中の仕切り(鼻中隔)の粘膜の前の方、ちょうど小鼻の内側あたりには、毛細血管が網の目のように密集した部分があります(キーゼルバッハ部位)。鼻血のほとんどはこの部分が傷ついて出血します。したがって、鼻血を止めるにはここをしっかり圧迫することが大切です。

耳鼻咽喉科内藤クリニック キーゼルバッハ部位

座って、少しうつむいた姿勢で、親指と人差し指の腹で、小鼻をしっかりつまみます。鼻血が出ている側が分かれば、そちらの鼻の穴に綿花をつめて、その綿花の上から出血部位をしっかり圧迫するように、親指で5分間、ぎゅうっと押さえます。方向としては、小鼻の横から鼻の中の仕切り(鼻中隔)に向かって親指で押さえます。イラストは、左側の鼻血を左手の親指で押さえている様子です。

耳鼻咽喉科内藤クリニック 鼻血

通常、しっかりと5分間押さえれば、出血は止まります。出血量が多くて、押さえていても血が流れてくる場合は、新しい綿花に取り換えて、また同じように押さえます。
綿花をつめる場所が浅すぎてもうまく圧迫できません。綿花がなくてティッシュペーパーを詰めることもあると思いますが、紙質が固いと出血部位にうまく当たらないこともありますので、鼻血がよく出る場合は、綿花を携帯することをお勧めします。
鼻血が出た時には、座って少しうつむきながら、止血処置をしましょう。上を向いていると、のどに血液が流れ込みやすくなりますので気を付けてください。気分が悪くて座っていられない時でも、頭の位置は枕や座布団で高くして、顔を横に向けた状態で寝転んでください。
のどに血液が流れてきた場合は、できるだけ口から吐き出して、飲み込まないようにしましょう。飲み込んだ血液は、むかつき・嘔吐の原因になります。

出血が大量で、通常の圧迫ではなかなか止まらない時には、専門医の処置が必要になります。耳鼻科もしくは救急外来を受診してください。止まりにくい鼻血の例を挙げます。
鼻腔のかなり奥の方で出血している場合は、うまく出血点を抑えることができないので、なかなか止まりません。
鼻の中の小さな動脈が傷ついて出血することもあります。動脈からの出血も圧迫だけではなかなか止血できません。
また全身の病気がある場合(血友病、白血病)や、高血圧、肝硬変の方、狭心症、脳梗塞、ペースメーカーを入れている方などでワーファリン等の抗凝血薬を服用されている方では、止血しにくい傾向にあります。

原因

鼻に炎症が生じて鼻粘膜が充血しているときに、強く鼻をかんだり、鼻の中をティッシュでこすったりすると、キーゼルバッハ部位に傷がつきやすく、鼻血が出ます。
風邪による急性鼻炎、アレルギー性鼻炎、急性副鼻腔炎等で、鼻粘膜の充血が起こります。鼻中隔彎曲症のある方は、曲がりの程度が強いと、突出した側の鼻粘膜に鼻血が起こりやすいです。繰り返す鼻血では、止血処置のほかに、原因となるこれらの鼻の疾患の治療も合わせて行うと効果的です。

また、循環器の病気(高血圧症、動脈硬化)、腎臓病、肝臓病、血液の病気(白血病、血友病、血小板減少症)の方は、鼻血が出やすい傾向にあります。
鼻血が出るからといって、すぐにこれらの病気を疑う必要はありませんが、鼻血のほかに歯ぐきや、皮膚にも出血した後の斑点が見られたり、体の倦怠感などの全身症状がある場合には、内科等でも診察を受けて、鼻血の原因を総合的に診断してもらう必要があります。

稀に、鼻(鼻腔~副鼻腔)や鼻の奥(上咽頭)の腫瘍性病変によっても鼻血や、血液の混じった鼻水が出ることがあります。

出血を繰り返している場合には、たとえ少量の出血であっても、耳鼻科で診察を受けてください。キーゼルバッハ部位の出血であっても、繰り返し出血するうちに、毛細血管の微細な傷だったところがこぶ状に変化して、単なる圧迫止血では止まりにくくなっていることがあります。

治療

通常の鼻血では、受診されたときには出血が止まっていることがほとんどであり、必ずしも止血処置を必要としません。

しかし明らかに血管が傷ついていて、ちょっとした摩擦でも出血しやすくなっている場合や、血管が所々で傷ついて隆起している場合などは、電気で出血点を凝固します(電気焼灼)。局所麻酔(綿花に麻酔薬をしみこませたものを10分程度鼻の中に軽く詰めます)をしてから行いますので、処置中に痛みはありません。予約なしで通常の診療時間中にできます。

鼻血が止まらない、止まってもまたすぐに出る状態で受診された場合は、どこから出血しているのかを確認することが急務となります。鼻の中の血液を吸引し、血管収縮剤をしみこませた綿花をつめて一時止血をしたのちに、鼻咽腔ファイバースコープを使って出血点を探します。そこで出血点がわかり、なおかつ電気焼灼できる部位であれば、上記のように麻酔をして電気焼灼します。

ここで出血点が確認できなかった時や、奥の方からの出血で電気焼灼が困難な時は、軟膏をたっぷり塗布したガーゼを鼻の中にしっかりつめて、ガーゼによる圧迫止血処置をします。これで出血が止まればよいのですが、のどに血が流れている場合、のどの奥にタンポンを詰める処置が必要になり、難治性の鼻出血という判断のもと、出血点の確認、止血処置のため、提携病院へ紹介となります。大量に出血している時は、輸血も視野に入れて、 救急処置を要します。

まとめ

  • 鼻炎や鼻中隔彎曲症などの鼻の病気が原因で鼻血が出やすくなることがある
  • 血液や内臓の病気や高血圧が原因で鼻血が出やすくなっていることがある。
  • 鼻血を止める際に上を向くのは誤り。うつむいて、親指で小鼻をしっかり圧迫する。

鼻血がしょっちゅう出てつらいという場合は、遠慮せずに耳鼻咽喉科を受診してください。
適切な治療を受ければ、出にくくなります。

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