のどの違和感
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のどの違和感

のどの違和感~咽喉頭異常感症とは

のど周辺に何らかの違和感、不快感があるとき、その表現は人によって異なり、「のどに何かがつかえているような感じ」というのが最も多く、ほかにも、「のどの圧迫感」「イガイガする」「ヒリヒリする」などがあります。
のどの違和感を引き起こす原因と考えられるは、のどの病気だけではありません。のど以外の病気の影響で、症状が現れる場合や、病気以外の原因~心因性のものによって症状が現れる場合もあります。

診療の流れ

のどは通常の視診(大きく口を開けて「あー」、と言ってもらい、肉眼あるいは処置用顕微鏡で観察します)のほか、喉頭鏡検査(小さな鏡を用いてのどの奥を観察します)や内視鏡検査を行います。当院の内視鏡検査は、先端が非常に細い、CCDカメラ付きの喉頭ファイバースコープ(電子スコープ)を用いて行います。
のど以外の病気の可能性もあるので、触診や超音波エコー検査で甲状腺やくびのリンパ腺などを調べます。鼻に原因があることもあり、単純レントゲン検査も活用します。 これらの検査で、炎症やできもの、特にがんなどのやっかいなものはないか、のどだけでなくのど以外の場所も含めてチェックします。
いろいろしらべても特に異常が見つからない時には、心因性のものの可能性もあります。

のどの病気によるもの

のどの炎症・できもの(腫瘍など)によってのどに違和感が出る場合です。

  • のどの急性炎症や、かぜを引いた後などでまだなおりきっていない時など、上咽頭や、のどの後ろの壁にあるリンパ腺に炎症が続いていることがあります。細菌感染があれば、抗菌薬を使うなど、炎症に対する治療を行います。
  • のどに何らかのできものが見つかる場合もあります。ポリープや袋状のできもの(嚢胞)などについては、しばらく経過を観察して、症状によっては切除等を考慮します。がん(咽頭がん、喉頭がんなど)が疑われる場合は、精査・治療のために大学病院等の関連病院に紹介になります。

のど以外の病気によるもの

1)後鼻漏がある場合

かぜを引いた後から、のどに違和感が続いている場合は、鼻や副鼻腔、上咽頭に炎症が残っていて、後鼻漏(鼻が後ろに流れてのどに下がっている状態)が見られることがあります。後鼻漏は、鼻と口の間の違和感、のどに張り付いた感じ、湿った咳などの原因になります。
鼻炎や上咽頭炎の治療を行うことで、のどの違和感も軽快します。

2)食道~胃の病気

胃の内容物が逆流してのどに到達すると、のどに炎症を引き起こします。咽喉頭逆流症といい、具体的には、胃液による酸性の刺激、胆汁によるアルカリ性の刺激が問題となります。
のどのイガイガ感、つまる感じのほか、胸やけ、ゲップ、咳、咳払いが多い、などの症状が見られます。
喉頭ファイバースコープの検査の結果、咽喉頭逆流症の疑いがあれば、胃酸過多、胸やけ等について、問診票を使って自己チェックをしていただきますが、胸やけ等がまったく自覚されない方もあり、消化管症状とのどの症状は必ずしも相関しません。
咽喉頭逆流症では胃酸を強力に抑える薬(プロトンポンプ阻害剤:PPI)の内服がよく効きますが、この薬を使い始める前には胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)を受けていただいて、胃や食道の状態を見てもらうことをお勧めしています。そこで逆流性食道炎と診断されて、内科で治療が始まることもあります。すでに逆流性食道炎の治療中にもかかわらず咽喉頭逆流症の症状が出ている方については、食事のとり方等で改善できる点はないか、追加できるお薬はないかを探りながら、のどの状態を経過観察させていただきます。

3)くびやくびの深いところの病気

甲状腺の炎症や腫瘍、茎状突起過長症が原因のことがあります
茎状突起とは、頭蓋骨の底からツララのように垂れ下がるようにして伸びている骨です。扁桃腺の裏のあたりまで伸びてきたりします。茎状突起が長すぎると(茎状突起過長症)、のどやくびに違和感等を引き起こします。

心因性のもの

検査をした結果、のどやくびに明らかな病気が特定できないにもかかわらず、のどの違和感があるとき、これを咽喉頭異常感症といいます。
発症には、心因性の要因が関わっていることが多いです。
がんではないかと心配しておられる方では、当院では診察時に行った喉頭ファイバースコープの結果(写真や動画)を一緒に見てもらって、のどにできものは認められないことをお伝えします。
それだけでのどの症状が楽になる方は多いです。
仕事や勉強のストレスにより、のどに違和感を出ている場合もあります。その場合は上手にストレス発散し、リラックスすることをお伝えして、経過を見ていただきます。漢方薬が症状緩和に効果を示すこともあります。
明らかに心身症、抑うつ傾向などが疑われる方には、一度心療内科等の専門医に診てもらった上で適切な治療を受けることをお勧めします。

ここに注意

のどの違和感については、見落としてはならない重大な病気の有無を確認する必要があります。
咽喉頭異常感症と診断されても、のどの異常感がずっと続いているならば、初診の後も定期的に経過を見せていただく方が安心です。初診時に小さすぎて見つからなかったがんが、サイズが大きくなって見つかることもあります。何らかの症状がある限り、油断は禁物です。

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