声のかすれ
声の発声源である声帯に障害があると声にいろいろな異常が起こります。
そのおもなものは声のかすれ(嗄声:させい)です。
正常な声を生み出す条件として、
- 左右の声帯が隙間なく接触している。
- 声門を押し開くのに必要な一定の呼気圧がある。
- 声帯がうまく振動するのに必要な声帯粘膜の適度の可動性がある。
の3つがあります。
これらの条件が満たされないとその声は嗄声となります。
症状・原因
声の音質の異常を嗄声といい、つぎのような種類があります。
粗糙性嗄声(そぞうせいさせい)
がらがら声、だみ声、雑音の多い声と表現される音質の異常です。
声帯ポリープや喉頭がんなどのときに、声帯の振動の異常としておこります。声の印象は、左右声帯のアンバランスによってきめが粗くなったように感じます。
気息性嗄声(きそくせいさせい)
すーすーと息もれする声のことで、発声時に左右の声帯の間(声門)に隙間ができるためにおこります。気息性嗄声をきたす疾患には声帯結節、声帯萎縮、反回神経まひなどのほか、急性喉頭炎で声帯が赤くなって腫れてきても、粘膜の可動性が失われて声帯振動が妨げられる結果、この気息性嗄声をきたします。慢性喉頭炎による声帯の肥厚でも、同様のメカニズムで気息性嗄声をきたします。
無力性嗄声(むりょくせいさせい)
力のない、弱々しい声のことで、喉頭の筋力低下があるときにみられます。
その他にも、痙攣性発声障害といって、声門が過度に閉じたり声帯が痙攣したりして声に異常をきたす疾患があります。声の特徴は、努力性でつまった感じの場合と、声が途切れたり震えたりする場合があります。
診断
かすれ声を聞いて嗄声の質を上記のどれに当てはまるのか、判定します。そこで、喉頭のおおよその状態を推定しつつ、喉頭鏡検査、喉頭ファイバースコープ(電子スコープ)を行って、診断をすすめていきます。
嗄声の程度が強いのにもかかわらず、ここまでの検査で異常が見つからない場合には、声帯粘膜の可動性を調べる検査(喉頭ストロボスコピー)等で精査する必要があります。この場合は関連病院に紹介となります。
治療
原因に応じて下記のような治療を組み合わせて行います。
- 消炎剤などの投薬、ネブライザー治療(のどに薬液を吸入する)。
- 声の安静~沈黙療法(声を出さないこと)
- 発声法の見直しなどの音声治療(提携病院に紹介します)。
- ラリンゴマイクロサージャリー(喉頭微細手術)(提携病院に紹介します)